タイトル アルミニウム構造学入門
著者 大倉一郎,萩澤亘保,花崎昌幸
出版情報 東洋書店
ISBN4-88595-624-2
定価1800円+税
まえがき
 アルミニウムは構造体の材料として新幹線車両,船舶などに用いられ,近年では自動車,建築の構造材としても適用されている.アルミニウムを橋に適用した場合,その軽量性から,地盤耐力が弱い場所での架橋,既設上部工のアルミニウム橋への架替えによる地震荷重の低減,工事作業性の向上,さらに,その耐食性の良さから,再塗装が困難な場所や海浜地区での架橋において有利であると考えられている.
 最近では,これらの利点を積極的に活かしたアルミニウム構造物の実現を目指して,阪大フロンティア研究機構(大阪大学),アルミニウム橋研究会(民間企業13社から成る任意団体)および日本アルミニウム協会において,各種の調査・研究が精力的に実施されるようになってきた.しかし多くの技術者・研究者は,鋼の頭でアルミニウム構造を見る思考パターンから抜け出せないため,アルミニウムの利点を活かすまでに至っていない.アルミニウムは鋼と様々な点において特性が異なるため,鋼で最適なことがアルミニウムにとっては必ずしも最適にならない.
 現在,アルミニウム構造に関する書籍は皆無である.著者等は,このことが前述の,鋼の頭から抜け出すことができない一因であると考え,アルミニウム構造に関する参考書を執筆するに至った.
 本書はアルミニウム構造学の入門書である.したがって,これまでアルミニウムに関する知識を全く持ち合せていない方を対象に執筆している.
 第1章では,アルミニウムの歴史ならびにアルミニウムの特徴,さらに,アルミニウム土木構造物について記述した.
 第2章では,アルミニウムの製造法,および,アルミニウムの内部組織と調質について記述した.
 第3章では,アルミニウムの種類,および構造用アルミニウム合金の機械的特性について記述した.
 第4章では,アルミニウムの接合法として,アーク溶接,摩擦攪拌接合およびボルト・リベット接合について記述した.
 第5章では,アルミニウムの表面処理,ならびにアルミニウムの耐食性について記述した.
 第6章では,アルミニウム構造物の安全性と設計法,ならびに引張部材,圧縮部材,曲げ部材および板要素の強度について記述した.
 第1章から第4章までを萩澤亘保,第5章を花崎昌幸,第6章を大倉一郎が執筆した.
 これからアルミニウム構造物を考えてみようと思われる方の参考書として本書を利用していただければ幸いである.

 本書を大阪大学名誉教授であった故前田幸雄先生に捧げる.日本で最初に,アルミニウム構造に関する研究の必要性を唱えられたその慧眼に敬服すると同時に,研究の発展と応用に関心を寄せ,著者らを常に叱咤激励された.また,鰹Z軽日軽エンジニアリングの取締役であった故山口進吾氏に深く感謝したい.山口氏はこの分野に多大な貢献をされ,また,著者らの研究活動に多大な御協力を賜った.
 最後に,本書の出版に際して,ご尽力を賜った鞄圏m書店の楢木野美郎氏と編集の労をとられた同社の小川栄一氏に感謝の意を表します.