アルミニウムボルト・リベット
  摩擦撹拌接合 は部材の長手方向の接合は容易であるが,部材端と部材端の接合は困難である.部材端と部材端の連結にMIG溶接が考えられるが,MIG溶接の疲労強度は非常に低いので,MIG溶接は使えない. したがって部材連結はボルト接合またはリベット接合になる.
 ボルトとして溶融亜鉛メッキ鋼高力ボルトの使用が考えられる.しかしメッキの剥離またはメッキの溶失による鋼ボルトとアルミニウムの異種金属接触腐食または鋼ボルト自身の腐食が懸念される.
 ステンレス鋼ボルトの使用が考えられるが,疲労の問題から通常のステンレス鋼ボルトは使えない.摩擦接合用ステンレス鋼高力ボルトは疲労の問題を無くすが,価格が高過ぎる.
 このような状況でアルミニウム部材の連結に対して残された方法は,打ち込み式アルミニウムボルト接合とアルミニウムリベット接合である.前者は建設現場,後者は工場で用いられる.

[打ち込み式アルミニウムボルト接合]
 摩擦接合用アルミニウム高力ボルトの開発は,ボルトの遅れ破壊の問題を処理するのに長い期間を要することが予想されたので,支圧接合用のアルミニウムボルトを開発した. 支圧接合の場合,ボルトと孔の間に隙間が存在すると,継手に繰返し荷重が作用したとき,継手にガタが生じ,疲労強度を低下させる原因になる. そこで凸凹の付いたボルト( 打ち込み式アルミニウムボルト )を開発し,これを孔に打ち込み,突起部を孔に食い込ませることにより,ボルトと孔に隙間が生じないようにした. このボルトの形状は,現在鋼構造物で採用されている打ち込み式鋼高力ボルトの形状を踏襲している. 縦溝は5度ほど傾斜している.
 アルミニウム橋の主要部材には,通常A6061S-T6,A6N01S-T5またはA5083P-Oが用いられる. 打ち込み式アルミニウムボルトの突起部はこれらのアルミニウム材の孔に強固に食込まなければならないので,これらより高強度であるA7050-T73をボルトの材料に選んだ. 孔に食込んだボルトの突起部に応力腐食割れが生じるのを防ぐために,ボルトに二段時効調質を施した.
 ボルトをハンマーで打ち込んだ後, ボルトを軸方向に切断し ,ボルトの突起部の孔への食込みの程度を観察した. 考慮した孔径は22.8mm,23.0mm,23.2mm,23.4mmの4ケースである. ボルトの突起部の孔への食込みの程度と打ち込み易さを勘案して,孔径を23mmに決定した.
 打ち込み式アルミニウムボルト1本当たりの荷重伝達力を 単純引張継手試験片 で調べた.母材としてA6061P-T6とA5083P-Oを取り扱った. 荷重と伸び(伸びの標点間距離300mm)の関係 において,荷重が小さいとき,荷重と伸びの関係が直線性を示すので,ボルトと孔の間に隙間が存在せず,ボルトの突起部が孔に強固に食込んでいることが確認された. 試験片はボルトのせん断破壊で壊れ,このときのボルトのせん断力の試験値が理論値より4%ほど小さかった. この原因として,ボルトの横溝に生じる応力集中の影響が考えられ,現在,横溝を付けない打ち込み式アルミニウムボルトを開発している.

[アルミニウムリベット接合]
 アルミニウム合金土木構造物設計・製作指針案に規定されるリベット材は,A5056-O,A5N02-OおよびA6061-T6である. A5056-OとA5N02-OはMgの含有量が多いので,結晶粒界にAl-Mg化合物が析出し,厳しい腐食環境下では電気的に卑なAl-Mg化合物が選択的に溶解し,腐食する. さらに冷間で打鋲する際にリベットの頭には引張残留応力が残され,この引張残留応力と前述の腐食とが相まって応力腐食割れの心配がある. A6061-T6は強度が高く,伸びが少ないので,冷間で打鋲することは困難である. これらを考慮して,リベット材にA2117を採用した. このアルミニウム合金は,Cuの含有量を少なくして耐食性を高めた,伸びの高い合金である.
 リベットの素材はA2117BE-T1で,直径が22mmの丸棒である. この丸棒を質別T4に熱処理した後,所定の長さに切断し,丸頭を温間成形して, リベット を造った.
 米国のアルミニウム設計マニュアルを参考にして, リベットの平頭の直径と高さ をそれぞれ32mm,10mm,孔径を22.8mmに決定した. 丸頭を支持し,油圧プレスにより冷間で静的にリベットを圧縮することにより,平頭を成形した.
 アルミニウムリベット1本当たりの荷重伝達力を 単純引張継手試験片 で調べた. 荷重と伸び(伸びの標点間距離300mm)の関係 において,荷重が小さいとき,荷重と伸びの関係が直線性を示すので,リベットと孔の間に隙間が存在せず,リベットが孔に充満していることが確認された. 試験片はリベットのせん断破壊で壊れ,このときのリベットのせん断力の試験値が理論値より20%ほど大きかった. したがってアルミニウムリベット接合の設計は,理論値によって安全側に行われる.